マグネティックマレット
magnetic-malletマグネティックマレット
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インプラントの埋入手術で最も多くみられるのがドリルで穴をあける方法です。ただし柔らかい骨に対しては細い器具から順に太い器具を骨に突打し穴を大きくしていく方法もよく用いられます。このような手術をする際、従来はハンマーでたたく方法しかありませんでした。
しかしこのハンマーで叩く手技は力のコントロールが困難であり、片手で抑えないといけない為、方向性を保つことも難しいという問題点がありました。また良性のめまいが起きることもあります。これらの問題を解決するのがマグネティックマレットです。
マグネティックマレットを使用したインプラント手術のメリット
より安全に手術できる
鈍的なインプラント窩の形成となるので、ドリルで削合する方法に比べ隣在歯や脈管の損傷リスクが少なくより安全な術式となります。
手術のストレスを軽減できる
無注水でのインプラント窩の形成が可能であるため、患者ストレスの軽減や術者にとっても視野の確保がしやすい利点があります。
外科的侵襲の大きい処置を回避できる
従来の術式では必要であろう骨移植などの外科的侵襲の大きい処置を回避できる可能性が高くなります。
骨が少ない場合でも対応できる
削れば骨は減ってしまいますが、叩くのであれば周りに広がりますので、骨が少ない場合にはより有利な方法となります。
インプラントの初期固定を強固にできる
骨粗しょう症の方など骨が柔らかすぎる場合には骨を圧縮して押し広げることによりインプラントの初期固定をより強固にすることができます。これは非常に大きなメリットといえます。
繊細で効率的な手術ができる
従来の手で叩く方法では80%の力は振動として逃げてしまい、20%しか力が有効に加わりません。マグネティックマレットでは磁力によりマレットが自動的に突打され、90%の力が有効に加わるといわれており、より効率的にインプラント窩の形成ができます。
またマグネティックマレットはフットペダルで操作できるようになっているため、両手を使うことができるようになり、より繊細に器具をハンドリングすることができます。
マグネティックマレットの適応症
基本的に骨が柔らかい上顎のみの適応となります。患者様ご自身の適応については担当医にお問い合わせくださいますようお願いいたします。骨の硬い下顎骨に対しては現在でもドリルで穴をあける方法が最も適しているといえます。
上顎の薄い骨の拡大(スプリットクレスト法)や垂直的に高さが不足するケース(ソケットリフト法)なども有効な適応症となります。
マグネティックマレットは欧州では広く普及しており、患者様にとって多くの利点がある機器です。日本においてはまだ30程度の限られた医院でしかその施術を受けることができず、今後よりいっそうの普及が期待されています。